2013/08/21

「はだしのゲン」の閲覧規制は、妥当だ。


島根県の松江市内の市立小中学校の図書館が
はだしのゲンの閲覧規制をしたわけだが、
筆者は、教育委員会の判断は、妥当であると考える。

まず、はじめに、筆者は「表現の自由派」である。
このブログだって、「表現」だ。
人が表現することについて、
基本的に国(や地方公共団体)が
規制を加えることを好ましいと思わない。

ストリートビュー賛成。(2008/12/22)を見てもらえれば、
筆者の「表現の自由派」としての立場がわかるはずだ。

思想の自由市場の中で切磋琢磨して、
残るべき思想が残ればいい。

しかし、あえて、はだしのゲンを、
その表現の自由の例外とすべき理由がある。


【第1に、戦争について事実誤認があること。】

作者の中沢啓治は、被爆体験をしている。
当時6歳。
そのため、広島での被曝体験の話は
リアルすぎるほどにリアルである。

しかし、日本軍が戦争において、
残虐な行為をしていた、という部分等は、
彼が兵士として戦争にいっていなかった以上、
その多くが、戦後の伝聞や想像に過ぎない。
だから、事実誤認が混じってしまっている。

「戦争の悲惨さを表現するために、
多少の誇張は許される!」という左翼的な意見もあろう。
ただ、事実誤認を小学生に見せてはいけないだろう。

はだしのゲンは、週刊少年ジャンプで、
1年半年間、不人気連載を続け、打ち切られた後で、
左翼系の雑誌等で連載を続けてきた。
当然、そういう雑誌の左翼的思想を受けた内容になる。

・1973年 - 1974年 - 週刊少年ジャンプ(打ち切り)
・1975年 - 1976年 - 市民(オピニオン雑誌)
・1977年 - 1980年 - 文化評論(日本共産党)
・1982年 - 1985年 - 教育評論(日本教職員組合=日教組)

左翼的内容に傾いた戦争観を、
現代の小学生に押し付けるべきではない。

仮に、思想の押し付けを許すとしたら、
「ゴーマニズム宣言」も許されることになる。
通常の小学生に読ませるには、どちらも過激で不適切だ。


【第2に、小学校図書館の蔵書が隔たっていること】

日本は、漫画について、世界で先進国である。
たとえば、ドラえもんやワンピースやドラゴンボール、
キャプテン翼(サッカー)やスラムダンク(バスケ)のスポーツ漫画、
最近であれば、宇宙兄弟のような夢のある漫画が揃っている。
筆者は、小学生には、こういう夢のある漫画を見て育ってほしい。

小学生といえば、6歳~12歳である。

彼らに、はじめに見て欲しいのは、夢や希望である。
決して、人間の絶望や悲惨さ、残酷さではない。
だから、小学生にはだしのゲンは、時期尚早である。

「はだしのゲン」は小学校の図書館にある数少ない漫画本だ。
それは、日教組系職員の猛プッシュによるものだろう。
いまでも、これと手塚治虫がある程度ではないか。
小学校の図書館は、漫画について保守的で閉鎖的である。

夢のある漫画が揃っている図書館の一角に、
小学校上級生(10歳以上)向けとして、
「はだしのゲン」があるのであれば、問題ない。

でも、いまの小学校の図書館はそうではない。
夢のある漫画は、小学生が自主的に読むから、
そうではない「はだしのゲン」だけ置いてしまうポリシー。

そうすると、気晴らしに漫画でも読もうと
図書館に訪れて、目に入る漫画は、
現状では、人間の絶望や悲惨さ、残酷さを表現した
はだしのゲンしかない。
これからの日本を背負う日本人である小学生に、
日本を嫌いにさせるような漫画を見せてどうするのか。

そういう現状が改善されない限りは、
はだしのゲンの閲覧を制限することは、必要かつ妥当だ。



【憲法論の補論】

・パターナリスティックな制限の許容

表現の自由については、
成人に対する思想の自由市場の例外として、
未成年者(子供)に対する
パターナリスティックな制限が許される。
※たとえば、エロ本の販売が、
未成年者に対しては制限されている。


・公教育の一環としての制限の許容

公教育の一環として設置される
小学校図書館における閲覧制限は、
「教科書検定制度」と類似した部分がある。

すなわち、教科書検定では、
一般市場での販売が許容される以上、
そこでの表現の自由は保障されている。
子供に対する教育で使われる教科書検定において
教科書としての認定却下されたとしても、
必ずしも、表現の自由の制限にはあたらない。

このことは、小学校図書館でも同じ。
一般市場での販売が許容される以上、
はだしのゲンの表現の自由は保障されている。
小学校図書館において、貸出図書として
小学校校長の許可を要する制限をしたとしても、
単に小学生に貸出がされなくなる効果があるだけで、
必ずしも、表現の自由の制限にはあたらない。

1 件のコメント:

  1. 同意です。
    しかも、この騒ぎはマスゴミに扇動されたもののようです。
    島根県は当初より「後半6~10巻だけを制限」していたそうです。
    それをいつのまにかJ-castニュースが「全巻を制限した」とニュースを書き換えて、問題が大げさになったというの真意のようです。
    http://blog.esuteru.com/archives/7278505.html

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