【前置き】
「携帯電話のMNPの高額キャッシュバックが終了する」
という「デマ」が流れたのは、3月12日のテルルのツイートが
今回の騒動の"一次ソース"だと思われる。
※誤解がないように。
「携帯販売店テルルでのキャッシュバックが17日に終了すること」
自体はデマではありません。ツイートの読み手(shishimaruや本田雅一)が、
勝手に、全社で終了すると曲解したに過ぎません。
それにMNP関係ブログが反応して、
いわゆるMNP乞食の人達に、CB終了の噂が広まった。
3月13日、BUZZAPの記事が掲載されるわけですが、
記事が確定的な言い方をして、情報を拡散させます。
MNP大幅優遇まもなく終了、ついに携帯各社がキャッシュバックを減額へ 2014年3月13日10:37 by shishimaru
>携帯各社がMNP(モバイルナンバーポータビリティ)利用者向けに行っているキャッシュバックがまもなく終了することが明らかになりました。
この
shishimaruの書いた記事は、マズいなぁ、と。
言い逃れできない"ウソ"ですからね。
これをソースにした2chをまとめた「まとめサイト」管理人も、騙されちゃったね。
広まった噂に、ある種のお墨付きにような信憑性を与えたのが
本田雅一(専門家)のツイートだろう。
実は、本田さん、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」という
Watchの有料メルマガで「高額キャッシュバックと収束への道」という
記事を書かれているんです。(
Vol.050/3月20日の一部が読めます。)
「予想が当たったー!」と嬉しくなって、口が滑った(ツイった)んでしょうね。^^;
このへん(
1・
2)を読むと、間違えたとは認識しているようだ。
ただ、ツイートも、個人(※専門家)の1見解に過ぎないわけで、
そこまで責めるに値しないかなぁ、と思うのです。
※
「エビデンス出してみなよ」(本人の過去ツイート引用)って感じはあるが。笑
※
専門家といいますか、マニアックに自分はよく知ってると思うと、取材せずに「ああ、あれはね」とやってしまう方は少なくないですね。伝える側の立場なのに(本人の過去ツイート引用)もブーメラン。
3月14日には、BUZZAPの別記事が掲載されるわけですが、
その内容として、本田さんのツイートを参照しちゃってます。
携帯各社のMNP優遇終了は総務省が指導、キャッシュバックは毎月200億円超に過熱していたことが判明 2014年3月14日11:13 by shishimaru
>一時的な終了措置かと思いきや、恒常的なものとなりそうです。
というか、これ、ウソ記事1(BUZZAP)が誤解(本田)を産んでしまって、
誤解(本田)をもとにして、ウソ記事2(BUZZAP)を書いてしまったのではないか?
そうだとしたら、
shishimaru、凄くオマヌケだなぁ、と感じる。(^_^;)
【余談。】
実は、ネタフリは、先月2月26日にあったわけです。
総務省、NTT規制見直しに着手 携帯・固定セット割など 2014/2/26 21:20日経新聞
>26日の初会合では、横並びで高止まりする携帯3社のスマホ通信料に「多様な料金メニューが必要だ」という意見も出た。現金を渡したり端末を無償で提供したりする顧客獲得を問題視する意見も多く、スマホの料金や販売手法に新たな規制がかかる可能性もある。
この部分は、記事の"末尾"に書かれた1意見に過ぎない。
メインテーマは、「NTTフレッツ光とdocomoのセット割解禁」だったわけだが。
これを読んだ人達は、総務省(全体)が問題意識を持っているととらえたわけである。
前述のウソ記事を書いたshishimaruも御多分にもれず、記事にしている。
携帯電話のMNP優遇ついに規制か、本体一括0円やキャッシュバックが問題視 2014年2月27日13:02 by shishimaru
そんな状況で、3月に情報が入ったので、勢いで騙されたんだろう。
2ちゃんねるのまとめを読んでも、記事の信憑性に疑問を挟むレスはない。
ちなみに、16日には、駆け込み需要で、登録センターがパンクしたらしい。笑
【筆者が騙されなかったワケ】
ここから本題。
筆者が騙されなかったのは、
筆者がMNP乞食ではない、というのも1つの理由ではある。
別に、終了しても生活に無関係なわけで。笑
しかし、もう1つ理由が。
そもそも「総務省(国)が動く」というのは、ほぼ考えられないのです。
ここからが、覚えておいてほしい基礎知識。
行政指導というのは、
行政手続法32条~36条に定められています。
で、総務省は、行政手続法の規制を受ける国のお役所です。
総務省が、キャリアに行政指導をするにあたっては、規制があります。
「行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現される」必要があります。
携帯電話の事業は、使用する電波について国の許可制をとっています。
その関係で、お役所の規制に服する部分があるわけです。
しかし、だからといって、何でもかんでも総務省が命令できるわけではありません。
"法律で決まっていること以外"を、総務省が文句を言えるかといえば、違うんです。
「MNPキャッシュバック規制法」なんていうものがあれば、別ですが、
国会でそういう法律が作られたことはありませんから、規制権限がないんです。
あまりにも目に余る場合に、総務省が行政指導という形で「お願い」をするわけです。
あくまで行政指導は「お願い」なので、キャリアは、無視しても問題ないんです。
※電波使用の「許可」を取り消されたり、次回更新時の「許可」が拒否されたりすると、
すごく困ったことになってしまうので、普通はキャリアは無視せずに従うわけですが、
これは、事実上そういう運用になっていますよ、というお話なだけで、本来は無視できます。
無視できることを明文で定めたのが、先述の
行政手続法32条~36条です。
・「行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現される」
・総務省は、「その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」
だから、いくら携帯電話のキャッシュバックが
「1契約5万円で多すぎるなぁ」という問題意識が総務省にあったとしても、
総務省が行政指導をするのは、すごく面倒くさいわけです。
携帯電話の販売方法については、キャリアの営業の自由が優先するからです。
この件について、ちゃんと問い合わせた
ナイス記事がコレ。
総務省の指導で“MNPキャッシュバック”が終了?――詳細を確認した[田中聡,ITmedia]2014年03月17日 16時22分(ITmedia)
>総務省 総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課に3月17日に確認したところ、「指導をした事実はない」とのこと。「指導をするとなると、文書を起こして稟議(りんぎ)を通す必要があるが、そのようなことは行っていない」(担当者)
>通信キャリアの担当者に口頭で伝えることも考えられるが、「そのような話も特に聞いていない」(担当者)とのこと。「ネット上の記事を見て、私も驚いている」(同)
>念のため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの広報部にも確認したところ、「総務省から指導を受けた事実はない」とのことだった。通信キャリア側が店舗にキャンペーンを取りやめるよう通達したことも考えられるが、年度末にかけて収束する可能性はあるものの、多くの店舗で各種キャンペーンを継続しているとのこと。
実際の運用としては、こんな感じ。
・「書面の公布」(行政手続法35条2項)をしていること。
・行政指導にあたり、キャリアと稟議(ひんぎが正確)をすること。一方的命令ではない。
行政指導があったとして→稟議して → キャリアの取締役会が内部でそれを決定して → キャリアが販売店にインセンティブ減額を通知して → 販売店がキャッシュバック減額をTwitterで告知する
という流れがあるまでに、逆算すると行政指導から最低半年はかかる。
キャリアもキャッシュバックをイヤイヤ出しているわけではなくて、
MNPでポートインしてくる新規顧客を集めるためにやっている。
だから、キャッシュバック以外の施策で、新規顧客を集める方法を
考える時間やら、それを実行する準備やら、が必要になってくるわけで。。。
「2月に会議で問題意識が出て、3月にTwitter告知」って、無理でしょ。笑
1.キャリアのキャッシュバックが一斉に終了する(Twitterの噂)
↓
2.キャリアに対して総務省が行政指導をしたからではないか?「推測」
この「推測」がそもそも成り立たない、ということが、なんとなく理解出来ましたか?
結局、根も葉もない噂だけが流れて、皆が騙されちゃったってことだね。
・得をしたのは、駆け込み需要で客をゲットしたキャリアと販売店くらいかな。
・損をしたのは、急いで微妙な条件の案件に飛びついたMNP乞食の人達、かな。
ちなみに、2012年の産経bizの記事に、こんな内容があります。
>総務省では「事業者の自主的な対応策を待つしかない」とお手上げの様子。(2012.3.23 05:00)
結局、総務省が行政指導とかする分野じゃないってことです。
【おまけ。キャッシュバックは悪なのか?】
そもそもキャッシュバックは悪なのだろうか?
ここでは、消費者ユーザー視線で見るべきだ。
MNPで2年に1回キャリアを渡り歩ける人にとっては、
キャッシュバックで安く機種変更ができるわけだし、
契約事務手数料3000円や転出手数料2000円を賄ってくれる
キャッシュバックは、すごく有難いものだと思う。
んで、一部のMNP乞食が、携帯電話回線を
十数回線も持って、転出と転入を繰り返していることを
問題視する声があるが、これも消費者には直接無関係だ。
なぜなら、キャッシュバックは、携帯電話会社のサイフから出ているから。
キャッシュバックの原資は、クソ高いパケット定額料金から出ている。
パケット定額料金が高いのは、MNP乞食のせいだ!という批判もある。
でも、逆に、
キャッシュバックを辞めたら、
パケット定額料金が下がるか?といえば、それはナイだろう。
キャッシュバックがあろうがなかろうが、パケ代金は高いんだよ。www
これ自体を、問題視して叩くべきだと、筆者は思うよ。
毎月7000円も携帯代金払ってたら、他の娯楽とか消費にお金が回らないでしょ。
今回のこととは、若干話がズレるが、
MNP関連で行政指導をするべきは、キャッシュバックそのものではない。
キャッシュバックにあたり、不要なコンテンツに何十個も加入を強制している
一部の携帯電話販売店の消費者契約法に違反する販売方法にこそ行政指導が必要だ。
※「第三者のコンテンツ」と「キャリアのオプション」は、異なります。
実録、MNP一括0円スマホのコンテンツ30個を解約するまで(アスキー)
>「有料コンテンツを30個を2ヵ月契約していただいています」という条件
>iPhoneの月額1万6322円……、高い。ひとつ約300円のコンテンツ30個は高かった。
>
コンテンツ契約の条件機関が過ぎたものの、コンテンツの解約方法がわからない。
スマホを買うときに、携帯販売店をTwitterで検索すると、
滅茶苦茶キャッシュバック条件がイイ店があったりするのだが、
電話で聞いてみると、「コンテンツ30コ加入です。」とか平気で言われたりする。
電話で教えてくれればいいものの、「条件は店頭で教えます」とかもある。
で、いざ、携帯販売店にいってみると、コンテンツ山盛りだったり。orz
使うコンテンツならいいけど、使わないけど入れ!ってのは、オカシイだろ。
30コもコンテンツ入れられて、誰がちゃんと試しているというのか。
総務省ではなく、消費者庁の管轄だと思うけど、
コンテンツについてルール作りをして、販売条件を開示させるように
行政指導をしていかなければならないと考える。
さらに、行政指導より強力な規制権限を発動できる事案でしょうね。
悪質な販売店に騙されないように注意しましょう。
【終わりに。通信環境を見なおすべき】
現状。
・携帯電話の端末がスマホになって、Wi-Fi接続が可能。
・キャリアメールを使う機会がLINE等のSNSで代置できるようになった。
携帯電話の本質である「通話」と「メール(連絡)」という
コミニュケーションに使う限りにおいて、
クソ高いパケット通信料を払ってあげる必要はない。
以前から、筆者のスタンスは変わらない。
筆者の運用は、docomo(XperiaacroHD)+WiMAXが基本になっている。
毎月1000円程度の基本使用料に、
WiMAXの4000円弱で、合計5000円程度だ。
※WiMAXは、毎年キャッシュバックをくれるので、実際の負担額はより少ない。
WiMAX1は、通信料規制がない使い放題なので、使い勝手がいい。
通信速度や通信料制限があっていいなら、1000円以下のSIMでもいいだろう。
docomo回線を使ったMVNO。IIJmioSIMが最も評判がいい。
養分扱いが嫌なら、キャリアに毎月7000円も払って、
たった7GB(笑)のシバリを強制されている人達は、
少し、スマホの運用方法を見なおした方がいいと思う。
もうキャリアに縛られる時代は、終わっているんだから。
興味がわいた人は、
この記事最下部【問題の根源は何か】がおもしろいかも。
〆