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2013/11/02

「天皇陛下への山本太郎の手紙」は、刑法犯でないし、違法でもない。単に、政治責任を負うだけでしょ(投票箱の原理)


いまや、「政治利用につながる」といって
全方位から叩かれている山本太郎。

園遊会にて、天皇陛下に山本太郎が手紙を渡したことが
国会とマスコミで問題視されている。

山本太郎は、こう発言。
「いま、子どもたちの未来が危ないです。
健康被害というものが出てきております。
福島の東電原発、収束作業員、
本当にひどい労働環境の中
働かされているという現実があります。
それで、この手紙のほうに実情が書いてありますので、
お読みいただけませんか、ということで
受け取っていただきました。」

>政治利用したということにはつながらないのですか?(記者)

山本太郎
「つながらないですね。」

>なぜつながらないんですか?(記者)

山本太郎
「ぼくが、天皇陛下に対してお手紙を書いたことが、
どうして政治利用につながるんですか。」



【批判】

内閣から批判がされている。

下村博文文科相は、
「これがもし認めれば、いろんな行事に
天皇陛下に対して手紙を渡すということを認めることになります」

谷垣禎一法相は、
「参議院議員が書状を提出するということは、(~)
天皇陛下を国政に、ある意味では、引きづりこむことになりかねない。」

宮内庁は、「陛下の意見を求めたりしているわけではないので
『政治利用』とまでは言えないかもしれないが、
皇室の行事を利用して自らの主張を広めようとする非常識な行為だ」

みんな、なんか怒っている。激おこぷんぷん丸。


【筆者の見解】

少なくとも、山本太郎の行動が、違法か?といえば、
まったくもって、「合法」である。

刑法73条~76条は「皇室ニ對スル罪」を定めていたが、1947年に削除済み。
>第74条 天皇(~)に対し不敬の行為ありたる者は三月以上五年以下の懲役に處す。
これが残っていたとしたら、「不敬の行為」の構成要件該当性が問題になるはず。

ところで、山田宏参議院議員(日本維新の会)が、国会にて
「田中正造議員もですね、議員を2ヶ月前に辞職をして、
そして、直訴におよんだということでございます」と批判している。
しかし、足尾銅山鉱毒事件の田中正造議員の辞職は、1901年のこと。
当時は、旧刑法(第116条~第120条)の該当が問題となる時代。100年以上昔。

・大日本帝国憲法時代には、天皇がトップの統治機構だった。
・日本国憲法(現行法)では、天皇は象徴としての地位があるに過ぎない。

田中正造が、大日本帝国憲法時代に、
現人神であった天皇陛下に直訴することは、「不敬の行為」だった。
おそらく、1901年当時の社会通念上、そう解釈されていたはず。
だから、田中正造が、わざわざ議員辞職したうえで、直訴したのは、正解。

これに対し、山本太郎はどうか。
山本太郎が、日本国憲法時代に、
いわゆる人間宣言後の天皇陛下に、手紙を渡すことは、
1.そもそも刑法74条が消されているから、犯罪不成立だ(大前提)。
2.仮に、刑法74条が残存していたとしても「不敬の行為」にあたらない。
なぜなら、「人間である象徴天皇陛下に、お手紙を渡すこと」は、
社会通念上、一般私人に手紙を送る行為と同じ態様であって、
その内容が、侮辱とかにあたらない限りは、何の罪でもないから。

また、仮に、刑法74条が残存していたとして、
少し難しい話をするならば、「不敬の行為」は裁判所によって、
極々適用範囲を狭めるべく「合憲限定解釈」がなされることになろう。
だから、2.仮の話であったとしても、山本太郎は無罪になるといえる。
※議員の不逮捕特権(憲法50条)があり、会期中は逮捕されないのは、前段階の話。

何が言いたいかといえば、
田中正造の話を、現代にタイムスリップさせての批判は、失当だということ。
山田宏参議院議員も、これを援用して批判しているマスコミ各社も、
「頭のなかが、戦前で止まっているんじゃないの?(笑)」って感じである。


【法治国家よ、日本は。】

んで!(ザックリ言うと、)
違法じゃない以上、何をやっても許されるのが、法治国家だ!
これは、結構重要なことで、常識的に~とか言う批判は、そもそもオカシイ。

天皇陛下の政治的中立性が、よっぽど重要なのであれば、
明文で!明文で!明文で!
「国会議員は、政治的に利用する目的をもって、
天皇に対して、意見を述べ、また、意見を内容とする書簡を渡し、送付してはならない」
っていう法律を作った上で、これに違反した場合に叩くべきである。
常識的に~とかいって批判している人は、ハッキリ言って意味不明。

そもそも論として、「天皇陛下の政治的中立性」って、
そんなこと、憲法には、書いていないわけだが、誰が言い始めたの?笑

憲法4条1項は、「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、
国政に関する権能を有しない。」と定めているだけであって、
天皇陛下は、政治的中立性を保たなければならない~とか、書いていません!

むしろ、「この憲法に定める国事に関する行為」として、
憲法7条1号は「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。」と定めていて、
国会法65条1項は、「国会の議決を要する議案について、(~)
その公布を要するものは、これを内閣を経由して奏上し」 と定めている。
例えば、近年成立した「放射性物質汚染対処特措法」についても、
公布を要するものとして、天皇陛下が法律に署名する手続きがされているはず。

つまり、憲法3条の「内閣の助言と承認」のもとにはあるとはいっても、
天皇陛下が法律や政治に全く関わっていないという認識は、見当違いである。

下世話な話をすれば、皇室予算は税金から賄われている以上、
政治的中立性も必要なく、国益にかなう以上、天皇陛下や皇室を
どんどん活用していくべきだと、筆者は考える。
オリンピック招致で高円宮妃久子様のスピーチも、大賛成である。

憲法1条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とある。
国内において、天皇陛下が何か発言すれば「天皇陛下が応援してるぞ!よし!がんばろう!」と思える(人がいる)。
たとえば、東日本大震災の直後の「天皇陛下のお言葉」に気持ちを強くした人はいるはずである。
対外的にも、天皇陛下が何か発言すれば「日本の象徴がいったこと」として、強いメッセージ性をもっている。
それが、国益につながるのであれば、できる限りのことをやるべきだし、政治的中立性という足かせをつける意味はない。


政治的中立性って、誰得なのよ。
これは、誰に対する、何の配慮なの?
皇室が、政治的に関係のある部分について出て行ったとして、
それが国益に反することがあってはいけないけど、
そうではない以上、むしろバンバンやっていってほしい。

こういう政治的中立性を過度に求める立場って、
実は、大日本帝国憲法時代の天皇統治機構が大嫌いだった
サヨクの人達から主張されているもの。日本人の総意ではない。
こういう意見に配慮するあまり、宮内庁が萎縮的になっている。
へいへい!宮内庁ビビッてる~!


さらに、政治的中立性を宮内庁の自己満足ポリシーとして認めるとしても、
山本太郎が、天皇陛下に、お手紙を渡す行為は、
ジャニオタが、木村拓哉に、ファンレターを送る行為と同じく、
一方的なものであって、天皇陛下の意思表示は存在していない。
受領行為自体が、パフォーマンスだっていうのも、言い過ぎだろう。
(ちなみに、国会議員でなく一般人も、天皇陛下にお手紙を出せます。
宮内庁宛に送れば、ちゃんと届きます。ご本人に届くかは、宮内庁次第です。)


【まとめ】

筆者は、先の参議院議員選挙で、
山本太郎には投票しなかった。
だから、山本太郎を応援しているわけではない。

しかし、現に当選したということは、
国民の一定数が山本太郎に入れたことになる。

そして、それは山本太郎のほぼ唯一といっていい
「原発反対」という政策の主張が、
一定数の支持を集めた、という結果だ。

法治国家である以上、違法行為でないこと以外は、
なにをやっても、許されるのが、原則である。

そして、国会議員は、憲法15条3項で、
「成年者による普通選挙」によって選出される。
だから、山本太郎の行動が気に食わない人は、
次回の参議院議員で、彼に投票しなければいいだけだ。
それが、政治責任という、唯一、彼が負うべき責任だ。


個人的に、原発についてヒトコト言わせてもらう。
サヨクの食いぶちになってしまった原発反対ウンドウは、
すごく情けないし、山本太郎もサヨクの一員だから応援していない。

だけど、最終的に向かうべきゴールは、危険ゼロのエネルギーだ。

「原発の危険性を限りなく無くす、技術と運用を」という手段が、
おそらく現在の政府の考え方になっている。(原発存続)
これは、世界の先進国でも同じ考え方をとっていて、不合理ではない。

けど、日本は、地震大国+核のゴミ処理が解決できない、
というデメリットがある以上、何らかの対案は必要だと思う。
それがメガソーラーであれ、なんであれ。

そういう現実的な考え方をできずに、
・エネルギー不足とか高騰とか関係ない!ともかく反対!
という理想を追いすぎるサヨクの考え方は、
・健康のためなら死んでもいい!
という健康オタクみたいな感じがする。筆者は、全く共感できない。

去年も書いたけど、原発存続が必要な以上、こういう運用をしてほしい。

>筆者としては、原発なんてやめて欲しいのだが、
>産業界的には、経済が死んじゃうからそうもいかないだろう。

>だから、ここは現実的に、こういう案でいってほしい。
>1.現存する原子力発電所は、特別法を作って、国が全て没収。
>2.その維持管理運用は、国が全て行う。
>3.運用をする人たちは、自衛隊の人にお願いする。(ごめんなさい)
>4.作った電気は、原子力発電所をもっていた会社に売ってあげる。

>今までどおり、電力会社に維持管理運用を任せていては、
>再度の事故は避けられないと考える。
(【2012年衆議院選挙の攻略法】無党派層はどこに入れるべきか より)


小泉純一郎が、原発反対の動きを見せていることが、
現実的な考え方をする世論にとっては、現状で唯一の光だ。


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